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影と光のこと・他
古代語のゼミだった。
私たちの担当は、「しる(知る)」という言葉について、
万葉集から用例を探し、考察することだった。

ペアを組んだのが、1つ年下の
ちょっとオトコマエの男子だったこととは無関係に(笑)
結構真面目に準備をした。
「しる」という言葉には、こんな意味もあるし、
あんな意味もあるんだよ、と、たくさんの用例を拾って分類し、
そこそこ頑張ってレポートしたつもりでいた。

でも、ドキドキしながらの発表を終えた時、聞こえてきたのは、
先生の「う~ん、困りましたねぇ…」という、絞り出すような言葉だった。

「困りましたねぇ…」というのは、その先生の口癖で、
当時よく、友達とふざけて真似をして、笑い転げたりしていた。
しかし、学問的には厳しいけれど、
お人柄は優しくてみんなに愛されていた先生から、
初めて直に自分に向けて、この「困りましたねぇ…」が発せられた時、
すっかり途方に暮れてしまった。

先生のおっしゃることは、こうだった。
“必要なのは、「しる」という言葉のたくさんの意味を、
列挙することではない。
別々の意味で使われているのに、
どうしてどれもこれも同じ「しる」という言葉で表されているのか、
それを考えてほしいのだ。
君たちは、まるっきり逆のことをやっている。”

目から鱗が落ちる思いがした。

結局、私たちのレポートは、やり直しになった。
翌週の再発表も、結局は、幼くて拙いものだったと思う。
でも、あの時自分の中で、何かが確実に変わったと思うから、
こんな小さなことが、今も忘れられない。

“一見しただけでは共通点が見当たらない、
ひどくかけ離れたもの同士なのに、
よくよく考えれば、地下にはつながる流れが隠れている。
それを探り当てなさい。
そこには、雑多な対立に満ちみちた世界に向き合うための
大切な鍵が隠されているんだ。”

そう教えられた気がした。

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私はそこらにゴロゴロいる、ミーハーな類の、姜尚中ファンだが、
彼と森達也が、戦争の記憶の残る土地を実際に訪ね歩きながら
対談を重ねた『戦争の世紀を超えて』(講談社、2004.11)には、
殊更に思い入れがある。

また、あまり網羅的に辿ってはいないけれど、
その昔、映画「A」「A2」のビデオを借りて見て以来、
そして、彼の著書である『放送禁止歌』をかなり熱中して読んで以来、
森達也の仕事も好きだ。

ポーランドのイエドヴァブネ村で1941年に起こった惨劇
(ナチスではなく、ポーランド系住民たちが、ユダヤ系住民たちを
大量虐殺したという事件)について、
森は『戦争の世紀~』の冒頭近くで、こう語る。

〈凶暴で残酷な人だけが人を殺すわけではなく、
普段は善良で優しい父や息子たちが、昨日までの隣人を大量に殺し、
そして殺される。このメカニズムに、戦争や虐殺が世界から
なくならない理由が隠されている。僕はそんな気がするんです。〉

温厚な家庭人と殺戮者。
相反するこの二つに類した顔は、おそらく私の中にも息づいている。

大原富枝の小説「ストマイつんぼ」の女性主人公は、結核で病臥しながら、
ある日、新聞で、殺人事件の報道記事を目にし、
〈兄殺しの罪に堪えて生きているはずのU君と、わたしのなかにも
住んでいる殺人犯性のために、数日をわたしは兄弟の不幸に堪えて過す〉
と語る。彼女は療養のためにほとんど寝たきりの、かよわい女性だ。

〈わたしのなかにも住んでいる殺人犯性〉。
果たしてどれだけの人が、自らのうちに潜むそれに気づいているだろうか。
気づいたとして、どれだけの人が、そのどぎつい現実を、潔く認めうるだろうか。

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「かげ(影・陰・蔭・翳)」を辞書で引くと、
一番最初に、〈日・月・灯火などの光〉と書かれている。
「月影」は月の光、「星影」は星の光。

その昔、「かげ」という語が、なぜ陰と陽の相反する意味を合わせ持つのか、
不思議に思ったことはあるけれど、理由を調べたことはない。
しかし、光が影をつくりだすことを思えば、
この二つの言葉は、対義語というよりはむしろ、類語というべきか。

実際、影は常に暗いものとは限らない。
陽射しの下、水面に映る影は、明るくゆらめいているし、
また、光も常に明るいものとは限らない。たとえば、月の光。

昨日の通勤時、何だか無性に聴きたくなって
黒田の「overflow」と「月光」を何度もリピートした。

「overflow」の、〈青くにじむ月のしずく〉の世界。
涙の湖。ぬれた頬に感じるような、ひんやりした空気。
ゆっくりと流れる風。
光はすべて、うっすらとした、青い影をまとっている。

そして「月光」の、たとえば次のようなフレーズ。
〈どうしようもない事だって 報われはしない事だって
ゴールに待つ真実のため 最後まで身に纏って 走れ〉

“光を目指して走る時も、
「影はネガティブなものだから」と、切り捨てなくていい。
むしろ、〈真実のため〉に、影を最後まで手放すな。”

しっくりくる。納得がいって、心底ここちよい。
だって影をまとわない光なんて、インチキ臭くて堪えがたいじゃないですか。




戦争の世紀を超えて―その場所で語られるべき戦争の記憶がある戦争の世紀を超えて
―その場所で語られるべき戦争の記憶がある
(2004/11)
森 達也・姜 尚中


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A2 [DVD]
(2003/07/25)
ドキュメンタリー映画
監督:森達也


放送禁止歌 (知恵の森文庫)放送禁止歌 (知恵の森文庫)
(2003/06/06)
森 達也


大原富枝全集 (第6巻)大原富枝全集 (第6巻)
(1996/07)
大原 富枝


grapefruitsgrapefruits
(2002/08/28)
コブクロ

※「overflow」


52965296
(2007/12/19)
コブクロ

※「月光」
Secret
(非公開コメント受付中)

Re: 影と光のこと・他
ん~ん、
Birdyさん、むずかし…

でも、また読んでみました。
だんだん解る事ができました。半分…(笑)

“〈真実のため〉に、影を最後まで手放すな。”    か~

〈どうしようもない事だって 報われはしない事だって
ゴールに待つ真実のため 最後まで身に纏って 走れ〉   ん~ん、そっか~

解ってるのか?  わたし^^;
半分は、解る。気がします。

なんだか…Birdyさん、ありがとさん。

そうだね、明るいだけの“光”確かに、、インチキくさいね(笑)
できれば、笑っていたいけど、へらへらしててもね、、(笑)

♪ あなたは歌ってくれました  こころのそばへ寄り添うように、
           喜びのかげと  悲しみの光を~   ♪

小渕くんも、いいこと書いています。
むずかしかったけれど…なんか、良かったな~

Re: 影と光のこと・他
コブ姉v-534

コメしてくださって、ありがとうです。(#^^#)
おぉっ! そうでしたそうでした。
「喜びのかげ」に「悲しみの光」。

「忘れてはいけないもの」の「あなた」は、
やっぱりコビィのお母さんなのかな~。
しあわせな記憶と悲しい記憶が、二つ貼りついているから
こういう表現を生み出すような感性が育ったのかなぁ、なんて
思わず勝手に想像してしまいます。

すごくしあわせだったからこそ、失われたことが悲しい。
悲しいのだけれど、でも、優しい記憶が心をあたためてくれる。
そんな感じなのかな…。どうなのかなー。
「影が教えてくれるのは そこにある悲しみだけじゃない
うつむく顔を上げて振り返れば そこにある光に気付くだろう」とも
言ってますし…。

コブクロには100%明るいだけで成り立ってるような曲があんまりないですよね。
アップテンポの曲も、どこかしら暗さみたいなものがありますよね。
「神風」の子だって、多少屈折してそうだし(^^;
「Pierrot」の彼も、ビミョーな立ち位置っぽいし、
「恋のドッキドキ阪和道」(笑)も
「痛み重ねすぎて」とか「砂を噛む思いはもうしたくない」とか…。

私、黒ちゃんの曲の中でも「overflow」と「月光」が
ダントツに好きなんですよね。
「overflow」にあるナイーブさが、
面白黒ちゃんの言動の中にも、時々見え隠れしてるように思ってしまいます。

「月光」は、すごく多くの分量を、
人の心のネガティブな部分に向けている気がするし、
しかも、「ネガティブなままでいいんだよ」って言ってくれてる気がして。
「君も寂しさに震えてるのか?」で終わる、っていうのも
ものすごく腑に落ちる締めくくりで。(要するに、べた褒め。#^^# )

異なって見えるものが、実は根っこで繋がっている、ってことを意識できるとき、
ちょっとだけですが、世界が変わって見える気がします。
例えば、他人と自分がどこかしら似ていると思えば、
普段は苦手な相手の話すことが、ちょっとおもしろく感じられたりするし、
日頃忘れていた、自分のダメな部分を、「これも自分の一部だ」と意識していれば、
少し用心深く行動して、失敗することが減りそうな気がするし…。
まぁ、それだけ、いつも失敗ばっかりしてるんですけど。(^^;;
(って書くと、オバQの歌みたいですけど♪)

3つほど話を繋げて書いて、ホントに繋がってるのか、
自分でもイマイチわかっていなかったりするんですが、
何だか書きたかったから、勢いで書いちゃいました。
(記事もミニブログも思い立った時に書きたいので、
このごろなんだか、電車で書くことが多いです。)
コメントすごくうれしかったです。(#^^#)
Re: 影と光のこと・他

お久しぶりです


やっぱり、Birdyさん、大好きです。

お誕生日、秋なんですね。
うん、そんな感じ。
おめでとう~Birdyさん****
(四つ付けてみました。)



日本語って奥深いですよね。
友達と話してても、「違う、その意味じゃなくって、こっちの」って言う時あるし。
一つの言葉が色んな意味を持つ。
難しいなぁ。
今、いい例が出てこないんだけど…^^;
何があるかなぁ?

でも、すごく難しいなって想うのが、
「きっと光はさすよ」って明るい意味で友達に話しているのに、
友達の中では、私の言いたい意味、「明るい光」がちゃんと伝わってはいるんだけど、
その光が、友達にとっては苦痛のものだったりすること。

一回、『麻友に大丈夫って言われても、信じられない時がある』みたいなことを言われたことがあって。
私だったら、凹んでる時、明るい言葉をかけられたら
本当に嬉しくなるし、単純に光はさすんだろうなって信じられるんだけど、
一人ひとり違って…。

そう、影の部分を言ってもらえる方が、凹んでる時に+になる子もいると思うんですよね。


あー、難しい。


影、というと「時の足音」が浮かびます
光がほら、影を作る…影で人は強くなれる…

光と影を常に一緒だとおもうんです
それを常に想っていると、多少うまく生きれる気がする。
いい事があっても、悪いこともあるってことを覚えていれば。
反対に、悪いことがあっても、いい事があるさってことを覚えていれば。


人それぞれに陰と陽がある
それを認め合って、尊重し合うことって難しい…

だから、唄で、「あ、これは私の中の陽だ」って感じられると
本当に嬉しい。
分かってくれてる人はいるんだなぁって。

反対に、自分の中の陰を描いてくれる唄も、
なぜかずっとずっと聴き続ける。

不思議。難しい。
何言ってるのか分かんなくなってきたし…。

私にとって、「月光」は、どっちかっていうと、陰を描いてくれてるんです
ため込む傾向があるから、私
♪何度一人ぼっちの夜を スーツにくるまって迎えても強くなんてなれないさ♪。



あ~。
分かんなくなってきた。
ぐっちゃぐちゃでごめんなさい



Re: 影と光のこと・他
麻友ちゃんv-511

久しぶり♪ コメントありがとうね。

そうなのよ、秋になると1歳老けるんでーす。(^^;
お祝いありがとう。
「いただきましたっ。『*』4つですっっっ!」
(ここ↑は、「チューボーですよ!」の堺正章さんのイメージです。^^ )

言葉って確かに難しいね。
人の心はとても複雑だから、同じ言葉が、違った意味で
受け取られたりすることも、たくさんあるね。

そういう時ってショックだし、相手に対する罪悪感も湧いてくるし、
自分自身が傷ついてしまったりもする。

でもさ、長い目で見るなら、きっと、それでいいんだと思う。
もしも、人の心がみんな単純で平板で、
どんな言葉もわかりやすくストレートに言いたいことを伝えてくれるなら、
楽かもしれないけれど、きっと生活のいろんな所から
深みのようなものが失われていってしまう気がする。

「信じられない時がある」って言ったお友だちの言葉は
その時の麻友ちゃんにとっては、悲しくてつらかったんじゃないかな
って思う。
でも、その悲しさやつらさが、麻友ちゃんの心を
一層育ててくれるんじゃないかな。

それに、そう言ったお友だちにとっては、「言える相手」だった、
ってことも、すごく重要だったと思う。

本当に信じられない相手に、人はそんなこと言わないよ、きっと。

本当は信じてる相手、信じたいと思っている相手だからこそ、
そんなつらい言葉もぶつけるんだと思う。

そう思うと、人って言葉で会話しているわけじゃないのかもしれないね。
あくまで言葉は、数ある伝達手段の中のひとつでしかなくて、
結局は、心と心で会話してるのかもしれない。

そっかそっか、「時の足音」にも、光と影が出てきていたね。

前にも別の場所に書いたけれど、私、「時の足音」って
最初に聴いた時、ぜんぜんピンと来なかったんだよね。
きれいにまとまった、10周年記念ソングなのかな、って程度で。

でも、「リアル」とコラボ、って聴いた時、
いきなり全然違う歌に聞こえてきた。「リアル」読んだことなかったのにね。
汗くさくって泥くさくて、ところどころ血も滲んでるような、
そんな歌にしか聞こえてこなくなっちゃって。
麻友ちゃんが挙げてくれた光と影が出てくる箇所、
2人の声がどんどん重なってくるところ、
なんか思い浮かべただけで、胸がいっぱいになる。

溜め込むタイプの子は、私は大好きだよ。
人として、深みがある。
それに「影で人は強くなれる」んだ。それが、本物の強さだよね。

ただ、溜め込みすぎてパンクしないようにね。
無理しすぎは禁物。<これ、約束ねー。(^^)
Re: 影と光のこと・他
ミニブログの「彼」…

あ~ん、愛すべきわが町が…

いい人って、たくさんいるよね。。
世の中、ほとんどいい人じゃん。
と、よく思う、 お人好し…呑気もんの私…

どこで、「彼」の歯車が、狂っていったんだろう~
自分らしく、成長出来なかった、、悲しみ…

車のハンドルに、あるらしい「あそび」だっけ、少しのゆとり、、
ボキッ、と折れないしなやかさ、
それを、持たせてやらなければ…

悲しすぎる。


話は、変わりますが、

あれから「overfiow」何回も、聴いたさ~
私、この曲、あまり聴いていなかったんです。
良さが、少し…染みてきました。

また、変わります^^
聴きたかったあの曲e-420
大阪ファイナルで、歌っちゃいましたね~
やっぱ、大阪で歌いたいよね。
Re: 影と光のこと・他
コブ姉、

うちの近くにはけっこう、彼と同じ学校の学生さんが
住んでるので、何年か前、このあたりを彼が
ふっと歩いていたとしても、それは全く自然なんですよね。
昔の彼の写真を風景の中に置き直してみると、
妙にハマる気がして。
総武線使って通ってたのかな、
あぁ、こういう子、いっぱい歩いてるな、って。
そんな子が、なんでこうなっちゃったんだろう。

こんなふうになってしまうと、
つい、興味本位な目を向けてしまうし、
こんなひどいことをするなんて鬼畜だ、って
断罪して糾弾したくなるけれど、
おそらく自分と必ずどこか地続きである気がして…。
特に、同じ千葉の中で生活していた子、と聞くと
そのあたりが特になまなましくて。

ボロ切れみたいにクタクタに疲れた姿を映像で見た時
びっくりしました。
なんで、こんなふうにならなきゃいけないことを
やらかしちゃったんだろう、って。

おっしゃるとおり、ハンドルの「あそび」みたいなものが
人には必要なんだな、って思います。
衝動を吸収するもの。
激しい感情が突き上げても、それが現実に
形にならないように気持ちを包む、何かふんわりしたもの…。
どうしてそれを持つことができなかったんだろう。

この間も、同じ学校の女の子が亡くなりましたね。
島根でも、女の子がひどい事件に巻き込まれました。
若い子にかかわる事件は、特に悲しい気持ちになります。


「overflow」聴いてくださってたんですね。(^^)
この歌って、ふだんは「行くしかないだろう!」って頑張ってる人が、
素に戻ったとき、ふと洩らす溜め息みたいな気がして
何だかすごく好きなんですよね。

なにげに、「風のまにまにゆっくりと」ってところが好きで。
昔、「まにまに」って
「間に間に」って書くのかな、って思ってたんですけれど、
「随に」「随意に」って書く、って知ってから
何だかこの言葉も好きになりました。
時に力を抜いて、成り行きに身をまかせる、って
必要なことかもしれないなぁ、って思います。


大阪ファイナルの1曲。
そうですよね~。私も聴いてみたかったです!(#^^#)

「遠回りしても」「目をそらさずに」。
遠回りすること自体に、何か深くて大事な意味を
見つけることができたなら、
人はもっと自由にしなやかに生きることができるんじゃないかな…。
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