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薄墨色の葉書
このごろ、ある懐かしい曲が気になって、
ずっと繰り返し聴いている。
 
私が小学生だったころ、彼のヒット曲「関白宣言」は、
激しい賛否両論を巻き起こし、社会現象にもなった。

その少し前に発表されたアルバム「夢供養」に
療養所(サナトリウム)」という静かな歌がある。
シングルカットはされていない。

青年が入院先で老女と知り合い、彼女とのふれあいを通して
老いについて、生について、自分にもできることについて、考える
――そんな重い歌を、まだ20代だった青年が歌い、
10代前半の少女たちまでが、真剣に聴いていたあの頃。
(当時の彼は売れっ子だったし、アイドル雑誌にもよく載っていた。)

学生時代からの先輩で、長く彼のコンサートに足を運んでいる人がいる。
「久しぶりにコンサート行きたいな」と言うと、
「客の年齢層が高くて、きっとびっくりするよ」と言われた。
先輩は40代だが、客の中では若い方だという。
私が最後に彼のライブへと足を運んでから、15年くらい経つが、
当時は、年配のお客さんも若い子たちも、たくさんいたんだけどなぁ。

老いた家族の介護が切実な問題となり始めた中年以上の人間の一部しか、
こんなに優しい歌の存在を知らない時代と、
子どもから大人まで多くの人の耳に、こうした歌が電波に乗り、
意識せずとも自然と流れ込んでいた時代。

私は実は、樋口了一の「手紙~親愛なる子供たちへ~
という歌が好きではない。
あなたが子供の頃、私は随分と可愛がってやったんだよ、
だから今度はどうかあなたが、
老いた私をあたたかい目で見てほしい、だなんて。
そんな言い方をしなければならないなんて。

「療養所」の〝僕〟は、〝おばあさん〟が夜中に〝僕〟の毛布を
かけなおしてくれたことの見返りとして、
自身の退院後、彼女の見舞客になろうとしているわけではない。
人が人に心を寄せるということ。
人生の長さを考えれば、ほんの一瞬、すれ違ったにすぎない人に対しても
存在を認め、その生の深みに思いを向けるということ。


恋の歌も悪くはない。
ただ大概の人にとって、恋は一過性のものであり、
恋に憧れ、恋に身をやつした日々を通り過ぎてみれば、
ラブソングは、ノスタルジーの歌となる。
癒しのような、ご褒美のような。
人生のオプションとしての。

しかし、命を、生の意味を扱う歌は、位置取りが違う。
暮らしを豊かにしてくれるオプションの部分ではなく、
生の根幹、いつもヒリヒリ痛んでいる生の土台に、
直接ザラッと触れてくる。
その重さ。

けれど多分、心のどこかで、
重い荷物を抱えている同志の存在を知らせてくれるものを、
その重たい荷物にどうやって向き合っていけばよいか
示唆を与えてくれるものを、人は切望している。
だからコブクロの場合、「蕾」や「ここにしか咲かない花」が
爆発的に世に受け入れられた理由は、よくわかる気がする。

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もう1曲、このごろ繰り返して聴いている曲がある。
ソロとしての彼の最初のアルバム「帰去来」におさめられた「第三病棟」。

入院中の〝僕〟には、ナースの恋人(とおぼしき人)がいて
同じく入院中の〝坊や〟と、仲良く交流したりしている。
しかしある日、坊やは病室から姿を消す。(亡くなる。)

さだは言う。
〝「生命を大切にしよう」と大声で呼びかける事が大切なのではないはずです〟
(『さだまさし 時のほとりで』新潮文庫、1980.7)
彼は、労を惜しんでお題目を唱えて済ますようなことはせず、
ささやかな、だからこそ輝きを放つ、なまなましい生活の一齣一齣を
いつも丁寧に丁寧に拾い上げ、ひとつひとつ異なる光を放つ物語を
豊穣な語彙と美しい音にのせて、歌って聴かせてくれた。

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少し前、1枚の葉書が、私の郵便受けに舞い込んだ。
高校時代の友人の名が、ご主人の名前と並んで印刷された、
薄墨色の葉書。
先月末、息子さんを病気で亡くされたことを、活字が淡々と伝えてきた。

まだ中学生。
会ったことはないが、毎年もらう年賀状の写真で顔は知っている。
母親に似た涼しい目元の少年。

私には「高校時代の友人」と呼べる人が数えるほどしかいない。
「同じクラスだった人」「同じ部活だった人」となら言えても、
「高校時代の友達」と何の躊躇もなく呼べる相手は、
多分片手の指の数で足りてしまう。

彼女は特に何かに夢中になることをしなかった。
周りの子たちは皆、アニメやら音楽やら部活やらにハマっていたが、
彼女はそれらに適度に付き合いつつ、
自分は決して何かに耽溺したりはしなかった。
当時、屈折のまっただ中だった私を、いじって笑わせてもくれた。
ベタベタしない彼女のクールさと、独特の情味が心地よかった。

…結局、ここのところずっと、彼女に対して、
何か言葉を送ろう送ろうと思いながらも、できずにいる。
何を伝えたらいいのか、全くわからなくて。
考えても考えても、答えが見つからない。



夢供養夢供養
(1999/02/26)
さだまさし

※リリースは1979.4.10


帰去来帰去来
(2005/02/23)
さだまさし

※リリースは1976.11.25

Secret
(非公開コメント受付中)

Re: 薄墨色の葉書
Birdyちゃん、おこんばんは。

きのう読ませて貰ってて、レス書きたかったけど、頭もうろうとしててね…^^;
今日もあんまり変わらないけど…^^;;

「手紙~親愛なる子供たちへ~」はね、実は私も??です。

子供は、その「愛らしさ」で3歳までに、十分親に「恩返し」している
って、何かで聴いた事があって、私はそうだな~って思います^^
この言葉が好きです。
上の歌知った時、歌詞を繰り返し読んで、親が子に向けた言葉では無い気がしました。
親子の事を、第三者がこうあってほしいと思い、書いた様な…気がしました。

家族って、不思議だし、愉快だし、ありがたいですよね。
判で押した様なものでは無くて、それぞれに一生懸命であればそれが1番かもしれません。

さださんの「サナトリウム」「第三病棟」も昨日聴いて、
最近涙もろい私は、うるうるです。
さださん、声が優しすぎます。おいしい白桃のやさしさ(アラモードでは無いよ!)

また、聴いてみます♪

「蕾」はいいな~♪
小渕くん、うたいきったよね。
鼻歌で、あかるく唄っていても、こころじゃ泣いちゃうよ。

お友達からの葉書は、悲しいものでしたね。。
子供は、決して親より先に逝ってはいけないよ…
こんな悲しみも乗り越えて行けとは…
神様は何を…思っているのだか…
(なみだと共に、静かに時間が流れますよう、なるべく優しく…)

--------------------

真央ちゃんは、結果が出て良かったですね。
みきティーが、素敵でした。

いっちょまえの寒さになってきましたね。
どうぞ、風邪など引かれません様に。
Re: 薄墨色の葉書
コブ姉v-273v-534

楽しいクリスマスの時期に、こんな記事を書いてしまったのに
優しいレスをくださってありがとうございます。
週末、出かけていたので、お返事が遅くなってしまってごめんなさい。

樋口了一さんの「手紙」は、樋口さんのお友だちのところに届いた
チェーンメールにあった作者不詳のポルトガル語の詩を
元にしているんだそうですね。

> 親子の事を、第三者がこうあってほしいと思い、書いた様な…気がしました。

そうですそうです。私もそれならば、とても納得です。
あれを親御さんの言葉として書いてしまうと、何て言うか、ちょっとキツくて…。
老いた親御さんのプライドというか人格というか、
それを傷つけ損なう歌詞であるように思えてしまうんです。。
愛って、見返りを求めるものじゃないですよね。
実際はものすごく、見返りを求めてしまいがちですけれど…。

「蕾」の歌詞の「理由なき愛のあかし」というフレーズが好きです。
「蕾」を初めてきちんと聴いた時、
サビでもない、さして目立たない部分にサラッと
こんなフレーズが出てきたことに、衝撃を受けた記憶があります。

「理由なき愛」。
「~だから、愛してる」というような愛情じゃなく、
相手が存在しているだけで愛おしい。
そんな、何物にも代え難い大きな愛を存分に受けて育った子どもが、成長した後、
「昔、優しくしてあげたんだから、今度はおまえが私に優しくしてくれ」と
親に言わせてしまうような人間に育ってしまっていたとしたら悲しい。
また、かつての大いなる愛の持ち主だった親御さんが
こんな言葉を子供に向けて発してしまうようになっていたら
それもたまらなく悲しいです。

> 家族って、不思議だし、愉快だし、ありがたいですよね。
> 判で押した様なものでは無くて、それぞれに一生懸命であればそれが1番かもしれません。

本当に、おっしゃるとおりだと思います。
私の家族は、昔も今も、いわゆる「仲良し家族」ではないし
ヘンな関係だな、と思うところも多々ありますが、
やはり特別な思いがあって、
家族に何かをしても、損をしたという気分にはならないから不思議です。

「サナトリウム」や「第三病棟」、聴いてくださったんですね。
ありがとうございます。
あの頃の、若い彼の声、本当に美しくて大好きです。

友達のことも、お心遣いくださってありがとうございます。
いまだに葉書を手にしては、連絡しようかどうか迷い続けていますが、
お正月にゆっくり考えて、少しきもちがまとまったら
手紙でも書いてみようかなと思います。

ここ数日、本当に寒いですね。
週末、山梨に行ってきたんですが、
やっぱり南関東よりずっと空気が冷たかったです。
でも、お天気が良くて、すごくリフレッシュできました。

コブ姉も相変わらずお忙しいと思いますが
どうかお風邪にはお気をつけくださいね。

コメント、とてもうれしかったです。
ありがとうございました(#^^#)
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